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桜開花〜うなからのおくりもの〜

 4月22日(金)ある一本の桜がきれいな花を咲かせました。まだ若く、か細い印象を受けるその木は、いつまで続くのか分からない長い冬をただじっと我慢し、いつか来る春の日を信じて力を蓄えていたかのように、初々しくも、どこか力強く、自らの意思で花をつけているような桜の木です。そして、その桜の木の横には「うなからのおくりもの」と書かれた立札が立っています。

 平成17年3月26日。当時、見附中学校2年生だった稲着直人さんは長く苦しい闘病生活の末、その短い一生を終えました。天真爛漫で、元気な彼はみんなから親しみを込めて「うな」と呼ばれていました。人なつっこく、周りにはいつも大勢の仲間がいました。闘病の苦しみを人には見せず、明るく振る舞っていました。しかし、病魔はそんな彼に容赦なく襲いかかってきました。学校に登校することも困難になり、病 院での闘病生活が長く続きました。野球部の仲間が見舞いに行くと、彼はいつもの笑顔で迎えてくれました。しかし、見舞いに行った仲間たちは彼の笑顔にうまく答えることができませんでした。ひと回り以上小さくなった彼の体が、闘病生活の苦しさを物語っていたからです。それでも彼は、力の限り病気と闘いました。もう一度大好きな学校へ行くために、もう一度仲間たちと会うために、最後の最後まで…。

 「うなからのおくりもの」は、毎朝見中生が登校してくる通称「見中坂」を見下ろせる場所に植樹されました。しかしながら、花をつけて見中生を出迎えることはありませんでした。

 そして植樹から5年目の春、「うなからのおくりもの」が長い長い冬を終え、ようやく見附中学校に届きました。この桜の木は、5年という長い間、厳しい自然環境に立ち向かい、あきらめずにじっと力をため、見事な花を咲かせました。まだ若いその桜はどこか凛としていて、見中坂を見つめています。桜の生 きざまは「うな」の生きざまなのかもしれません。

                      


             平成29年4月





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